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MUKAI JOURNAL

向井通信
2022.07.19
内径研削における治具作成でのコストダウン事例

~内径研削における治具作成でのコストダウン事例~

 

今回は、弊社内製治具とマグネットを使用して実現したコストダウン事例を紹介します。

写真のような部品を研削加工する際の段取り時間の削減、工数削減による利益UPの成功事例です。

写真①

【目標設定】段取り時間60%削減・多能工化の推進

 

 

【問題点抽出】

従来は、写真①のようにマグネット()にワーク()の取り付けをしていました。

芯出しが難しく、段取り時間・研削加工時間がかかり、誰もが簡単に段取りができないという問題点がありました。

かつ、1ロット50個(リピート品)で研削加工をするということもあり、研削加工時間より段取り時間の方が長くなるという傾向がありました。

今回は研削加工時間の低減よりも、まずは「段取り時間の大幅な削減」「多能工化できる段取り」ということに目をむけ、改善案を考えることにしました。

 

 

【改善案決定】

マグネットに直接段取りする従来の方法にこだわらず、「誰でも段取りができ」「芯出し不要」な治具を、弊社が得意とする治具設計・加工技術を用いて製作することに決めました。

着手してみると思いのほか簡単に治具を製作することができ、この程度の改善で【目標設定】の「段取り時間60%削減」「多能工化の推進」を達成できるかが心配でしたが、まずはTRYしてみることにしました。

 

【実施】

写真②がワークの写真ですが、平面から穴の中心のピッチ27mm部に0~+0.01の公差があります。

写真②

この部分を従来のように工数をかけて芯出しを実施しなくて済むようにするには、治具の精度が要求されます。

検討した結果、写真③のような治具にたどりつきました。

写真③

この治具をマグネット上にセットし、写真上部(治具上部、)のボルトでワークをクランプし、φ8部2か所に六角穴付きボルト()でクランプしセット完了です。

27mmの公差部分は、のボルトで先にクランプすることで解決することができました。

この治具を使用し、実際にΦ32の穴を内径研削してみたところ、27mm部0~+0.01の公差の精度もよく、研削加工箇所にビビりも生じませんでした。

リピート品ということもあり、2個目以降に精度が悪化すること、作業者が変わって精度が悪化することを心配しましたが、何度研削加工を実施しても精度に問題はありませんでした。

 

 

【成果】

治具を使用することによって、【目標設定】の「段取り時間60%削減」を上回る70%削減に成功しました。もう一つの目標である、多能工化の推進も治具を使用することによって、「誰でも簡単に段取りでき」るようになり、結果、研削加工まで誰でもできるようになりました。

 

段取り時間の削減や多能工化の推進をすることで、向井製作所は生産性と安定品質でお客様の部品調達に貢献いたします。