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株式会社 向井製作所

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MUKAI JOURNAL

向井通信
2021.12.17
溝や側面に対する平面研削加工はどこまで幾何公差が出せるか?

プレート形状の部品などの平面/平行度や面粗度などの幾何公差について、どこまでの幾何公差にすれば平面研削加工が必要か?については別のコラムでお伝えしましたが、

コラムはこちら

 

今回は、プレート形状の側面や溝の平面研削加工を行うとどうなるか?について取り上げてみたいと思います。

 

ここで、50ⅹ140ⅹ200、材質:SCM440調質 のワークを取り上げます。

 

さて問題です。側面・溝の平面/平行度、直角度、面粗度のマシニング加工における限界値はどの程度だと思いますか?

 

平面研削盤で研削を行う場合は、溝の底部は回転する砥石の円周を当て、溝の側面は回転する砥石の側面を当て研削を行います。従って、溝の底面と側面は数値が違ってきます。

まず、切削のみの場合の平面度・直角度・平行度・面粗度は、下記となります。

  図面指示 計測値
A面 A面の平面度0.01 平面度0.01~0.02程度
A面の面粗度Ra1.6 面粗度Ra1.6~3.2程度
B面 B面の直角度0.006 直角度0.01程度
B面の面粗度Ra1.6 面粗度Ra1.6~3.2程度

 

続いて、平面研削の場合の平面度・直角度・平行度・面粗度は、下記となります。

  図面指示 計測値
A面 A面の平面度0.01 平面度0.01以上が可能
A面の面粗度Ra1.6 面粗度Ra0.8以上が可能
B面 B面の直角度0.006 直角度0.005以上が可能
B面の面粗度Ra1.6 面粗度Ra1.0以上が可能

 

なお今回は50ⅹ140ⅹ200、材質:SCM440調質のワークとしましたが、例えばSS400やS45Cでもほぼ同等の平面度・直角度・面粗度が出せます。

一方、

① 違う材質を研削するケース

② 焼き入れ後、研削するケース

③ サイズが大きくなるケース

④ B面が30mm以上のケース

などでは、今回ご紹介したような数値は達成が厳しくなります。

特に①について、例えばステンレスSUS303やアルミA5052などの磁性のない材料では、マグネットにつかない、被削材の硬さが違うなどの理由で平面研削加工では精度が出しにくい傾向にあります。

ここまでプレート形状の部品に関する平面/平行度や面粗度について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。機械のスペック上、どうしても必要な数値である場合は仕方ありませんが、ある程度の精度で十分な場合は、マシニング加工などの切削加工だけで達成できる幾何公差で設計を行えば、コストを抑えた開発を行うことに繋がります。

向井製作所では高精度な平面研削加工はもちろん可能ですが、お客様のご要望に応じたVE提案を行っております。図面を拝見させて頂ければ様々なご提案を行うことが可能ですので、ぜひご相談ください。